2015年の夏、Mikeがアメリカに帰省するタイミングに、母親が家に泊まにくるということになった。今回は賃貸アパートではなく、購入したばかりのマイホームの様子見ということだ。もうこれ以上「Mikeとのシェア生活」という嘘は限界だった。

Mikeと付き合って既に8年目を迎えていたその当時、本格的に同棲して6年以上が経っていた。Mikeは、大学生時代に既に家族にはカミングアウト済みで、Sojiに会いたがっているというプレッシャーを受け続けていた。でも自分の家族に本当の事を言っていないのに、相手の家族に会うという気にどうしてもなれなかった。

自分にも「その時」が来た、というよりかは、むしろ「もう逃げきれない」という感情が日に日に大きくなっていた。

でも、実際にじゃあどうすれば?

砂川秀樹著の「カミングアウト・レターズ」というLGBTのカミングアウトに関する本がある。いろいろな告白が手紙のやり取りという形で紹介されている。その中には、感情移入することができた関西の親子の話もあり、背中を教えてもらえたような気になれた。

既に両親にカミングアウトしている友人にも、参考にと話を聞いてみた。カミングアウトした結果、それまで以上に親子関係を深めることができた話、そしてその逆のパターンの話も聞いた。カミングアウトすることが、果たして正しい事なのか。それ自体、色々な意見があった。

本や友人たちの当事者の話はリアルだった。にもかかわらず、肝心の自分はふわふわしていて、実際にその行為を行う当事者意識が全然なかった。

Mikeがアメリカに出発する朝、僕は高らかにこう宣言した。

「Mikeが飛行機に乗っている間に、全てが変わっているから。アメリカに着いたら、すぐにメールをチェックしてね。」

明らかにふわふらしていた。

長すぎる間、隠し続けた嘘。どういう風に切り出すのか。母の反応は?自分の言いたいことをうまく伝えられるのか?何度も頭で予行練習してみるが、これといった正解が見つからない。

結局「カミングアウトをする」事以外、何も決まらなかった。

母が最寄の駅に着いたという連絡が来た時、ようやく僕はカミングアウトの重みを全身で感じた。

今日を境に、親子関係が崩れるかもしれないこと。

母が息子に対して抱いていた夢や希望を打ち砕いてしまう可能性があること。

自分のこれまで反射的についてきた嘘の数々。

「親というものは子供を心配するあまり、常に最悪のシナリオを考えておくものなのよ。」

いつもの母のセリフが頭をよぎる。

「別に今日言わなくてもいいんじゃないか。」

逃げだしたくない想いに襲われる中、ドアのチャイムが鳴った。

そこには、お土産のいっぱい詰まったスーツケースといつもの母が立っていた。

(写真は、マイホームの鍵を初めて手にした瞬間の様子。マイホームの購入も色々なドラマがあったな。。。)

名前に謎の英語ミドルネームが入ってますが、100%純粋な日本人です。京都出身で、現在は湘南エリアにアメリカ人のパートナーと愛犬さし美と暮らしています。

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